ニュージーランドのカンファレンスに参加し、発表も行ってきました。 カンファレンスにはPHPの作者であるRasmus Lerdorf氏も来ておりその講演内容は別途、記事にします。 今回はその中で感じ、印象に残った事について書きます。

Christian氏の情熱

Christion

今回のカンファレンスで最も記憶に残ったのは僕を招待してくれた本人でもあるChristian Mazur氏の情熱です。 彼はアルゼンチンから家族でニュージーランドに引っ越してまもなく、PHPNZのMeetupの活動をスタートさせ、そこに地元の有力なWeb系企業であるSilverstripeなどからメンバーが加わる形で移住から一年を待たずして国際的なカンファレンスを開催し、成功させる立役者となりました。

Christion

しかも今回のカンファレンスにはPHPの作者であるRasmus氏を始めとしてインターナショナルなスピーカーを招待し、開会の際にはウエリントンの市長からの挨拶、クリスチャンの娘さんが通う地元の学校の子ども達によるニュージーランドの伝統ダンスの披露など、これまで見たことのないような演目まで用意する徹底ぶりです。

僕自身の感覚として異国に移住して一年もたたずにPHPのカンファレンスを開催するというのはほんとうに驚異的な実行力としか言えません。 彼自身、アルゼンチンのPHPカンファレンスの運営にも関わっており、またニュージーランドの特にウェリントンにはPHPなどを使うIT企業が集まっている事も大きな支えになっているでしょう。

今回のカンファレンスにおおむね4割くらいの参加者がニュージーランド国外から参加しており、また参加者と話した限りではオークランドなどウエリントン以外の都市から参加している参加者も居ました。 今回のカンファレンスをきっかけにニュージーランドのPHPコミュニティやIT企業、サービスに勢いがつくであろうことを考えると今回同席できたことは本当によい経験でした。

移動の疲れもあり、初日の夜のMeetupに参加できなかったのが今思うともったいなかったです。

カンファレンスのコンテンツ化

Christion

以前、PHPNWで講演した郡山さんも強調していましたが、インターナショナルのPHPコミュニティではカンファレンスのセッション情報をLanyrdとjoind.inに集約しており、スピーカーの実績の収集やまた参加者からのフィードバックを得る機会を増やすという仕組みが回っています。

基調講演など以外だと反応がないケースもあるとはいえ、フィードバックを受ける機会がある事で発表の改善に繋がるでしょう。 僕も今回はjoind.inで良い反応も悪い反応もどちらももらうことになり、直接その場で受けたフィードバックと合わせてしっかりと今後に活かしていきたいと思います。

育児が理由でコミュニティ活動を引退しない?

Yann

カンファレンス初日の夜にはスピーカーディナーが開催され、スピーカーやオーガナイザーが参加し色々な話をしました。 今回は近くのテーブルにConFooのYann Larrivéeが座っており、色々と話す機会がありました。 Yann氏のConFooはカナダで開催されている各種プログラミング言語の垣根を越えたカンファレンスで以前、日本にも来てくれたJoel Perras氏からも薦められた非常に面白そうなカンファレンスです。 彼から今年の日本のPHPカンファレンスの目標について聞かれた会話が印象に残っています。だいたい以下のような会話です。

  • 「今年の君たちのカンファレンスの目標は何だい?」
  • 「学生や女性などが参加しやすい企画や、運営スタッフにも若い人が増えるといいなと思っています。」
  • 「女性が少ないのは業界全体の問題でしょ。女性の参加歓迎なんていうのはパブの入り口に書いてあるLadies Welcomedくらい意味のないマーケティング戦略でしかないよ(ドーン)」
  • 「新しい人が参加しないと参加者やスタッフの平均年令が上がって、いずれ子どもが出来たりすると参加できなくなってしまうので新しい人が増えた方がいいと思うんですが」
  • 「子どもが出来たのはコミュニティに来ない理由にはならないでしょ、僕だって子どもがいるけどカンファレンスの主催をしているよ(ドーン)」

全否定されたような形になったことで印象に残ったのかもしれません。 ですがたしかに海外のコミュニティでは小さなお子さんが複数いても普通にコミュニティ活動をしている人は多いです。 実際、今回のPHPカンファレンスニュージーランドの主催者のクリスチャンには2人のお子さんが居ますし、講演をするような方をみてもとくに子どもがいるからどうのという話は聞きません。 一方でこれまでの身の回りのコミュニティでは子どもが出来たことをきっかけに活動量を減らしたり、活動から退く方を何人も見てきました。

海外のコミュニティは年齢層が幅広かったりダイバーシティがあるように見える事が多いのですが、言い換えると日本のコミュニティの年齢層や性別が偏りやすい原因として育児環境などの困難さの違いは影響しているのだろうなと思いました。

総括

最も大事なのはNew Zealand PHP Conferenceは素晴らしいイベントでした。 これまで様々なイベントに参加してきましたがその中でも特に大きな衝撃をうけて今後の自分自身の考えにも影響を与える旅になりそうです。 ここで感じた良い点を日本のPHPコミュニティなどに反映できる部分や参考にできる部分は何かしらあるのではと思います。 また一方で技術コミュニティを考える際には日本や様々な国が持っているそれぞれの状況にも関心を持ち、判断していかなければと思います。